蠢动
平岳大
若林豪
1970年代初頭,自主制作映画で注目を集めた三上康雄監督は、自身が82年に製作した16mm作品「蠢動」を再解釈し、新たな時代劇として映画化しました。本作は舞台を享保年間の日本に移し、大飢饉から3年が経過して世相が回復しつつある享保20年という歴史的な背景で展開します。因幡藩の城代家老荒木源義は、幕府から派遣された剣術指南役松宮十三の行動に疑念を抱き、彼の動向を探るよう用人の舟瀬太悟に命じます。この作品は、三上監督が2001年から2011年まで建設資材メーカー「ミカミ工業株式会社」(大阪府東大阪市)の社長を務めていた後、再び映画製作に挑戦した初作です。彼は自身の経験や観察を基に、時代を超えた人間ドラマと密接に関連する謎めいた物語を作り出しました。この作品を通じて、三上監督は過去の自主映画制作から現在までの長きにわたる活動を総括し、新たな挑戦を発表しています。